実は、自分の身分の一つに大学のフェローというのがある。名刺も作れる許可を得ているほどの身分なんだが、名刺などは特に作っていない。学部も理系ではく、文系の学科のゼミでそこのIT指導をするという内容。さらにボランティアなので報酬もゼロ。自分としては、廃棄するとお金がかかるPC機材をタダで引き取ってもらえているのでそれが実質報酬になるくらいか。その引き取ってもらったPC機材は、カンボジアのフリースクールのITとして再利用されている。実は、フリースクールのボランティアも20年くらいやっている。今月、まとまった時間が取れたのと、現地から猛烈に来て欲しいという話があったのでカンボジアに行くことにした。カンボジアというと、自分の中では以下の2本の映画が思い浮かんだ。
報道写真家・一ノ瀬泰造の実話
舞台は、Siem Reap(アンコール・ワットがある。今回行ったところ)
これも実話。
舞台は、Phnom Penh (首都)
閑話休題
Siem Reapは2回目で、以前の空港は、アンコール・ワットの近くに空港があり、着陸前にアンコールワットの上空を通ってくれて、市内へのアクセスが良かったが、新空港は、諸事情(これは関係者から直接聞けた話で機会があれば別で)で50キロ以上東に移されてしまった。はっきり言って空港のあるところは辺鄙でSIMの設定を間違えると全然繋がらず、実質Siem Reap街中でしか使えない。その街中というのもすごく小さいエリア。なので、SIMをよく理解しておかないとネットができない。逆に正しく設定しておけば、東京でいうNTTドコモなみに繋がる。今のNTTドコモも23区内ですらデータが繋がらないところがちょくちょくあるが、そのレベルで繋がるという意味でNTTドコモもカンボジアも常にバリ3というわけではない。
SIMカードの種類
物理SIM
- 事前に日本で買うことも可能だし、到着空港の両替所でも購入が可能(事前に調査が必要だが)
- サイズ:通常(標準)SIM、MicroSIM、NanoSIM
- サイズが合わない場合は以下で対応
- 裁断(非推奨:日本のキャリアはあくまでもSIMカードはレンタルなので裁断は本来はしてはならない。ICチップを損傷する可能性あり)
- アダプター装着(安全だが抜き差し時に中にアダプタだけ残って取り出せなくなったりするので注意が必要)
- 空港の両替所などで購入可能だが、元のSIMカードを無くしてしまったり、飛行機内で落として無くしてしまうなどに注意が必要
- SIMを差し替えてしまうので、日本の電話番号での発着信ができず、Lineなどは一時的に番号変更などが必要になる。
eSIM
iPhoneでeSIMをサポートしているモデルは以下
• iPhone XS / XS Max / XR
• iPhone SE (第2世代) 以降
• iPhone 11 以降
- インターネット経由でオンライン購入・発行可能
- QRコードスキャンやプロファイルダウンロードで有効化
- QRコードは、メールでくるため事前にメールをファイルとしてダウンロードをしておくこと。またパソコンが手元にない、手元で開きたくない場合は、事前に紙で印刷をしておくこと。スマホでメールのQRコードが見えたとしても、そのスマホでQRコードはスキャンできない。
- 一度、そのQRコードを使ってしまうと二度目の設定はできない。(QRコードを再発行する必要がある。)
- iPhoneでは簡単に異なる端末間で転送が可能(iOS設定メニューから移行)
👉 ポイント:近年はeSIM対応キャリアが増加しており、海外渡航前に現地キャリアやAiraloなどのグローバルeSIMサービスを事前購入するケースが一般的。
アメリカではiPhone 14以降、日本ではiPhone 17以降で物理SIMが利用できなくなったが、海外で使う場合は、物理SIMとeSIMの両方が使えるiPhoneのほうがまだ便利かもしれない。物理SIMであれば、SIMを刺せば取り合えずは電話としては使えるので。
海外SIMと日本のキャリアのローミング
海外SIMを日本で使ったり、日本のキャリアでローミングをする場合、SIMの発行元やローミング元の国を経由することが多い。たとえば、日本で香港のSIMを利用した場合、Google Mapでホテルの料金を表示させると香港ドル表示になる場合がある。
また、日本のキャリアの契約によっては、物理SIMやeSIMよりも日本のキャリアでのローミングをしたほうが安価な場合がある。ただし、現地での通話は国際電話になるため、現地のローカルで音声を利用した会話を必要がある場合は、SIMを用意したほうがいい。同行者などは、LineやTeams、FaceTimeを使えば音声回線を利用する必要はない。(ただし、データ通信ができる場合のみ)
SIMのアクティベーション
- 物理SIM:両替所で担当者にアクティベーションまで頼む(頼まなくてもやってくれることが多い)
- eSIM:利用開始とともにアクティベーションが走る
- 日本のキャリアでローミングをする場合:現地のキャリアに接続したときに自動的に利用開始される。
また、現地SIMあるいは、eSIMの場合、TopUpをする方法を確認しておく。現地キャリアの場合、現地の言葉で案内したSMSなどが飛んでくる場合があるので注意。カンボジアだとクメール語でくる。現地在住10年でも読めない言葉で来た。
キャリア選択
携帯では、キャリアを選択して通信をしている。たとえば、DOCOMOのSIMを使っている場合は、DOCOMOのキャリアを選択して通信をしている。DOCOMOが通じていないエリアでSOFTBANKだけが通じている場合、DOCOMOのSIMでは、SOFTBANKに接続ができないため、DOCOMOのSIMは使えない。
SIMを入手した場合、適切なキャリアを選択して使うことが重要
現地SIMを利用、eSIMを利用した場合は、購入したキャリアが正しく選択されているかを確認する
日本のキャリアでのローミングの場合は、日本のキャリアでローミングできるキャリアを地域ごとに調べておく必要がある。また、定額の設定に含まれているかを確認。さらに、海外定額を契約していない場合は、高額な金額を請求されることもある。その場合は、キャリアの設定でローミング設定をオフにしておくことでデータ通信だけが回避できる。(ローミングをオフにしていても、電話回線としての利用は可能)
自動
- 通常は現地キャリアに自動で接続される。SIMの設定で自動で設定される。
- 日本のキャリアローミングの場合、1カ国で複数のキャリアをサポートしている場合がある。データ定額が使えるか、サービスエリアが広い、高速通信が可能かによって、変更をしたほうがいい場合もある。
手動
- 自動で接続されない場合や特定キャリアを選びたい場合に手動で選択
- データ通信が不安定なときに有効
👉 実用例:同じSIMでも地域によっては複数のローミング先キャリアがあり、電波状況が違うため手動で変更すると改善する。
日本に隣接する海外の場合も注意で、韓国の釜山は、五島列島にある日本のキャリアを掴んでしまうことがある。逆に五島列島で韓国キャリアを掴んでしまうこともあるかもしれない。ドコモでは警告のSMSを出している。
実は知られていないTIPS
日本のiPhoneは、マナーモードにしていてもカメラのシャッター音がするようになっている。多分、世界的に「盗撮をする輩がいる国」と認定されているのだろう。実は、日本のiPhoneはシャッター音がするのではなく、日本のiPhoneでも海外でカメラを使う場合はシャッター音がしなくなる。
また、それ以外に、国ごとのiPhone、アメリカの場合は販売元ごとで利用できる電波の違いがある。普段使いをするのであれば在住の国でiPhoneを買わないと電波がフルで使えないことがある。海外で買ったiPhoneを日本で使えなくもないが、捕まえる電波が少ないことがある。過去のモデルでは日本のiPhoneやベライゾンのiPhoneはほぼフルで使えるが、AT&TのiPhoneでは使えない電波があったりした。使える電波の情報はモデルごとに以下に記載されている。
https://www.apple.com/jp/iphone/cellular/
近頃は、無理をして高額な海外のiPhoneを輸入して購入する意味がないような気がする。
iPhone 17の場合で海外でiPhoneを買うなら、カナダ、グアムあたりか?しかし、海外だから安いというわけでもないかも。
SIMの機能(提供内容)
SIMを購入、eSIMを購入する場合に、SIMのどの機能が必要かを確認して買う必要がある。
音声通話
- 会話だけできればいい!なら「音声だけSIM」はめちゃくちゃ安い。もう今はないかもしれないが。
- 現地キャリア番号が付与され、現地でのローカル回線として通常の通話が可能
- 海外からの国際通話や着信には追加料金が発生する場合あり
- アメリカだけかもしれないが、たまに自動音声のアンケートの電話がかかってくる。出なくていいが。
SMS (テキスト)
- 銀行・SNSアプリ、タクシーアプリなどでの二段階認証に必須となることが多い。日本でアカウントを作成しておくといいが、カンボジアのトゥクトゥクアプリは現地の電話番号が必要だった
- データ専用SIMではSMSが利用できない場合がある
データ通信
- 4G/5Gネットワークでのインターネット接続
- 通常はローミングSIMよりも現地SIMのほうが料金が安い
テザリング
- テザリング非対応のSIMも存在(特に格安プランやプロモーションSIM)
- データ通信と別にギガの容量が設定されている場合がある。(データ通信全体の一部でしかテザリングができない。)
- 制限がある場合はVPN利用で回避できることもある
- 以前、香港の露天で買ったSIMが正しくこれ。テザリングができないSIMでは、テザリングが表示されないか、オンにできない。回避策として、SIMが利用できるPocket WIFIを利用することで複数のデバイスで利用できる。
👉 注意点:購入前に「SMS対応」「テザリング可否」を必ず確認すること。また、無制限会話、無制限データ通信ではない場合、容量追加(Top Up)の方法を事前に確認しておくこと。
余談
日本のキャリアでもすぐに海外でのローミングができるとは限らない。海外での利用ができないケースや、海外でも利用できても、携帯回線の契約から1年以上経過しないと利用できないケースがある。また、データ定額の契約が用意されているかを確認する。
Lineの年齢確認は、日本のキャリア(大手)のSIMの契約情報を確認して認証をする。SMSをサポートをした日本の大手キャリアのSIMで年齢確認を使う。一部のMVMOでは年齢確認ができないことがある。その場合は、年齢確認のできるキャリアの契約があるSIMで一時的に認証をすることで、年齢確認ができる。年齢確認ができたら、自分のSIMに戻して、電話番号を再設定をする。(悪用は厳禁だが。)
APN設定
本来なら、SIMのデータを読み取って自動的に設定されることが多い。ただし場合によっては、自身で設定をする必要がある。また、Androidだと自分で設定をする、必要な場合がある。
このAPNの設定は、インターネットで公開されていることが多いが、そもそもAPNの設定が正しくないと、データ通信ができない、インターネット通信ができないので、APNの設定は、事前に紙あるいはスマホにデータとしてメモをしておくことおすすめする。
- APN(Access Point Name)とは:モバイルネットワークに接続するためのゲートウェイ設定
- APNを設定していない、まちがっていても通話だけは可能。
- 設定方法
- 多くの場合は自動設定される
- 自動で設定されない場合は、キャリアが提供するAPN情報を手動入力
- iOSでは「構成プロファイル(Configurator等)」を利用して一括設定可能
- 注意点
- 入力ミス(スペルや大文字小文字の違い)でも通信できない
- 海外SIMによってはAPNが複数あり、用途別に切り替えが必要な場合もある(例:一般通信用、テザリング用)
iPhoneの場合(例)
以下のページで、各国でサポートされているキャリアを確認をする。
https://support.apple.com/ja-jp/101569?choose-a-country-or-region=japan
このページに記載されていないキャリアの場合は、APNの設定が必要になる。特にiPhoneの場合、設定でAPNができればいいが、できない場合は、パソコンを用意してConfiguratorから設定をインジェクションをする必要がある。
サポートされているeSIMであれば、なにもしなくても使えると思う。
おすすめは、海外では、eSIMを使い、日本のSIMと2枚で使う。
現地で携帯経由で音声会話をしないが、日本からの電話は取れるようにしたいのであれば、
音声:日本のSIM
データ:海外のSIM
とする。念の為、日本のSIMのデータローミングはオフにしておく。また、SIMによっては、海外のSIMが日本でローミングで使えるので、帰国後、期限が来るまで海外のSIMをデータ用として使ってしまっても問題ない。現地で、携帯経由で発信(レストランなどの予約や仕事)をする場合は、電話発信時にSIMを選択してかける。頻度が多くて面倒であれば、音声を海外のSIMにしておく。いずれにせよ、日本のSIMも海外のSIMでも着信は可能。
実際にありがちなトラブルと対処
1. 電波は立っているがデータ通信できない
→ APN設定を確認
→ データローミングをONにする
→ 手動でキャリアを選択
データ契約が正しくされているかどうか?プロモーションで最初の数日分だけついていて、データ通信は別途Top UPしないとダメな場合がある。
ちなみに、iPhoneのインジケータでは、5G / 5G+ / 5G UW / 5G UC / 5Ge / LTE / LTE+ / 4G+ / H / H+ / 3G / E / Gという表示がある。4G/5Gと表示されていれば、高速通信が可能だが、EとかGとか表示されている場合は、テキストレベルでしか通信ができない。さらに最新のiPhoneで人工衛星のアイコンが出ている場合は、衛星を使った緊急通信(Medical IDを使ったテキスト通信)を利用しかできない。通信が成立した場合は、GPSのデータを使って救助にくるとか
2. SMS認証が届かない
→ データ専用SIMを利用していないか確認。 iPhoneの場合は、データ専用SIMでもMessageが使えることがある。実際は、iCloudのメッセージ機能なので、SMSではない。
→ 日本のSIMをサブとして残す(デュアルSIM利用)
3. テザリングできない
→ プラン制限の可能性(購入元に確認)
→ 別途APNが必要なケースもある
4. 通話できない
→ VoLTE設定を有効化(特に4G/5G専用SIMの場合)
まとめ
出発前に確認すべきこと
- SIMサイズまたはeSIM対応可否
- 日本のキャリアでローミングができる現地キャリアを確認
- 音声/SMS/データ/テザリングの有無
- APN情報(必要なら事前にメモ)
現地到着後の流れ
- SIM/eSIMを有効化
- 電波確認
- データ通信不可ならAPN設定とキャリア選択を見直す
iPhoneユーザー向けTips
- デュアルSIMで「日本番号の維持 + 現地データSIM」の併用が便利
- 事前にeSIMのオンライン購入を活用すると空港で慌てずに済む。空港に着いたらQRコードを読み取る。
帰国後の流れ
- SIM/eSIMを無効化。あとで再利用しようとは考えない。
- もし、日本でも使えるSIMの場合は、データ通信が残っている場合は使ってしまうのもあり。ただし、通信が発行国経由になる可能性がある。中国のSIMなどはアクセスできないサイトがあるかもしれない。
番外編
VPNはいるのか?
仕事で使うのであれば、携帯、無線LANともに100%必要。データはまず抜かれていると思うべき。
また、国によっては海外からアクセスができないページがある。特にEU圏内からはYahoo JapanはEUの法律の都合上アクセスができない。もし、海外(特にヨーロッパ)にいて、どうしてもYahoo Japanを見る必要があるのであれば、VPNを用意しておいたほうがいい。
以下Yahoo Japanのアナウンス。
2022年4月6日 (水)よりYahoo! JAPANは欧州経済領域(EEA)およびイギリスからご利用いただけなくなります
https://privacy.yahoo.co.jp/notice/globalaccess.html
この数年、米国、フランス、チェコ、カンボジアにしかいっていないが、そこでの情報をだいぶ網羅できたかと思う。